賃貸物件の申込及び契約をクーリングオフすることはできない

不動産の賃貸借契約の申込及び契約をクーリングオフすることはできません。そのような法律がないからです。

一旦、行った申込及び契約を取り止めたいのであれば、キャンセルが正しいと思います。

キャンセル(英: cancellation)は、一般的にはあらかじめ当事者間で契約・約束した事柄の内、どちらか一方の都合で破棄する意味合いで用いられる。日常生活における約束の取り消しや失念、無視などについて使われるほか、法律的には解約・取消・撤回であり、主に予約等の解除を指す場合が多い。

キャンセル 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

契約の後に、キャンセルをすることは難しい場合が多いです。殆どの場合でキャンセルを受付て貰えず契約が成立をした結果、「解約」をしなければならないことが現実的となります。そのため、契約をした後に引っ越しがなくなった等の場合には契約書の期間内解約等の内容を確認の上、不動産業者に相談をされることをお勧めします。

契約前の申込をしただけの段階でキャンセルをする場合には、ペナルティを受けることなく了解をして頂けることが多いと思われます。しかし、必ずペナルティがない訳ではなく賠償責任が認められた判例はあります。

私も不動産業者として、大家さんに頼まれて「賃貸物件の申込を一方的にキャンセルされた方」に「その日までに賃貸人が負担をした費用」を請求したことがあります。

それは「申込者の依頼で行った賃貸物件のクリーニング費用」でした。その物件は特別に汚れていた訳ではありませんでしたが、申込者の希望により行ったものです。しかし、このような場合でも私の経験上では申込者に請求するケースは少ないです。

理由としてキャンセルをした申込者の相手をするより、新しい申込者を探すことが優先されるからとなります。キャンセルして入居をしない申込者のことに構っている時間がもったいないのです。

それでも申込者の都合で、引越日当日に契約をする予定を組んで、そのギリギリでキャンセルする等の悪質な場合で、かつ「申込者の対応が特に横柄であった」等の場合には、賃貸人の心境が非常に悪くなることもあり、何かしらの対応をするしなければならなくなることはあります。

私的には申込者が賃貸物件の入居申込をキャンセルしすることは仕方がないことだと思っています。

その際は、無条件でキャンセルを受付して貰えることも多いと思いますが、少なからず賃貸人等に迷惑が掛かっている可能性がありますので、可能であれば迷惑の掛からないタイミングで、できる限り早くされることを推奨いたします。

また、タイミングを逃しているとしても誠意をもってお話しをされた方が良いと思います。

尚、余談ではございますが、不動産契約においてクーリングオフが適用されるのは「不動産業者が売主」となり「宅地建物の売買契約」を目的とする「事務所等以外の場所」行われた申込及び契約となります。

このことは「宅地建物取引業法 第三十七条の二」に記載されています。

宅地建物取引業法 第三十七条の二
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(略)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。

そもそもクーリングオフは冷静さが欠けている状況で契約をしないために定められた法律です。

消費者が自宅などに不意の訪問を受けて勧誘されるなど、自らの意思がはっきりしないままに契約の申し込みをしてしまうことがあるため、消費者が頭を冷やし再考する機会を与えるために導入された制度。

クーリングオフ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

悪徳商法から自分を守るためにクーリングオフをするのであれば、タイミングが悪くても良いとは思います。

しかし、それ以外の契約をクーリングオフもしくはキャンセルする場合には、信義誠実の原則から考えて、できる限り迷惑がかからないように実行されることをお勧めします。

せめてキャンセルしたときの態度が悪いという状態だけは避けるようにし、余計なトラブルが起きないように注意をされることを推奨いたします。

最後までお読みくださりありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。

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