フルローンでも手付金は必要です
不動産売買において都市銀行等の審査が通れば、物件価格と諸費用のすべてをフルローンで借りることは可能です。
そのため、0円で不動産物件を購入できると考える方もいます。実質負担という考え方がありますので、これを間違いとは言いませんが、実際に所持金が0円の場合には物件購入が難しいのではないかと思います。
その理由としては住宅ローンを利用する場合でも融資を受ける前に「手付金を現金で支払う」必要があるためです。
手付金の支払い時期は「住宅ローンで融資を受ける前の不動産売買の契約書に署名捺印をする日」となります。
そのため、融資の審査結果に関係なく、お金がまったくない場合には、手付金が払えないので不動産物件を購入することは難しいと判断します。
手付金の相場は物件価格の5~10%と言われていますが、実際の金額は売主と買主が相談で決めるものです。そのため、指定された金額を用意できない場合には素直に交渉されることをお勧めします。
ちなみに交渉次第で0円にすることも不可能ではありませんが、実際には、そこまで下がることはないと思います。
尚、手付金を消費者金融で借りればいいと考える方もいますが、これをすると買主の信用情報が悪くなった結果、事前審査が通っていても住宅ローンに審査が落ちる確率が増えます。そのため、基本的には知人等に借りる等で現金で用意することをお勧めします。
消費者金融に借りたことが原因で住宅ローンに落ちた場合、契約内容次第ではありますが、買主に過失があるとしてローン特約の適用ができずに売買契約が解除されないことがあります。
つまり住宅ローンが落ちたのに家を買わなければならない義務が発生する可能性がありますので注意となります。
手付金は「後払い」や「分割払い」等をすることはできません。必ず、契約時に全額を支払う必要があります。手付金が高額になるため、持参が難しい場合には契約を銀行で行うこともありますので、ここは交渉次第となります。
ここまで徹底して契約時に「手付金」支払いを求めるのは理由があります。それは判例で「手付金の授受がないと不動産の売買契約は成立したことにならない」ためです。
民法の考え方では売主と買主が合意すれば契約が有効となるため、手付金の授受がなくても「例えば売買契約書に双方が署名捺印をすれば契約は有効である」ように思えます。
しかし、不動産の売買契約の場合には「手付金の授受がないと契約が成立したと認めなれない」ため、契約時に持参が必須となります。
尚、手付金は法的にも「後払い」「分割払い」をすることができません。宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)の第3項で「手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為」と禁ずることが規定されています。これは不動産業者が買主が手付金が用意できない程、強引な営業した結果のトラブルを防止するためとなります。
このため、不動産物件を購入する場合、都市銀行等の審査で物件価格と諸費用のすべてをフルローンで借りることが承認されたとしても結局、手付金の用意は必要となります。
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