不動産広告の告知事項は事故物件とは限らない

不動産の広告に「告知事項あり」という記載を見ることがあります。

この文字を見ただけで「この不動産は事故物件である」と思い込む方はいますが、そうとは限りません。

告知事項とは、この物件を取引する不動産業者が「物理的」もしくは「精神的」な欠陥があると判断をしているため、告知する事項があるという意味です。

これは自殺等の事故物件だけではありません。

例えば「物件の隣にゴミ屋敷がある」「近くに暴力団の事務所がある」場合には心理的瑕疵があると考えることはありますし「白蟻の被害がある」「昔ボヤがあった」場合には物理的瑕疵があると考えることもあります。

不動産取引の際に不動産業者がお客様に説明をしなければならない項目は法律で決められていますが、告知事項には判例以外の基準はありません。今後、国土交通省で事故物件については心理的瑕疵のガイドラインを作成する予定のようですが、それ以外については今後も基準が作られない可能性があります。

そのため、現在において「告知事項」とは不動産業者が独自の判断で「この事実を知っていたら契約をしなかった」と言われそうなことをトラブル防止のために告知しています。

法律でもこのような内容となっております。

宅地建物取引行法 第47条(業務に関する禁止事項)
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
1.宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため(略)故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

不動産業者が不動産取引の際にお客様の判断となる事実だと思うことについて「故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為」は法律で禁じられています。

ただし、不動産業者が思うことはそれぞれ異なり、また判例以外の基準もないため、現実問題として告知事項の内容は不動産業者で異なっています。

このような状況のため、極端な内容かもしれませんが、不動産業者である私の基準を記載いたしますと、一例として「賃貸物件で原状回復をしていない物件の場合」等のその事実を知ったらお客様が不快に感じるかもしれないと思うことは何かしらの方法で告知をする必要があると考えています。

しかし、これをしていない不動産業者もたくさんいると思いますし、軽微な内容と考えたのであれば、それも普通だと思います。

私の基準となりますが、不動産の取引をしたお客様が騙されたと思わないようにすることが重要であると考えています。

そのため、可能であれば軽微なことであってもお客様か気にするかもしれないと思った事実は「すべて重要事項として説明をする」等の防衛手段をして「言わなければバレない」と考えないことが重要ではないかと考えます。

あくまで告知事項は不動産業者が独自で考える瑕疵等の説明となりますが、お客様がそう感じなければ瑕疵等とはなりません。

あいまいな内容であるため「余計なことは言わなくてもいい」と判断が正解であることもありますが、そもそもバレたら大変になると思っている事実を意識的に隠して取引をしている場合、法律違反というだけではなく、将来の争いの種を放置しているだけという可能性もあります。

言い方は悪いですが「仲介手数料程度の利益のために判例のような争いに巻き込まれて信頼を失わないようにする」ことが大切ではないかと考えます。

最後までお読みくださりありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。

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