e-文書通則法とは
「e-文書通則法」は、正式には**「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」**という法律の通称です。
この法律は、e-文書法と呼ばれる以下の2つの法律の総称の一部であり、その中核となる法律です。
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(通称:e-文書通則法)
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(通称:e-文書整備法)
e-文書通則法の概要
- 目的: 各種法令で書面(紙)での保存が義務付けられている文書について、電磁的記録(電子データ)による保存を原則として容認するための一般的なルールを定めています。
- 役割: ITの活用により、紙の文書保存に伴うコストや業務の負担を軽減し、国民の利便性の向上を図ることを目指しています。
- 制定・施行: 2004年11月に制定され、翌2005年4月に施行されました。
電子保存の主な要件
e-文書通則法に基づき、文書を電子保存する際には、一般的に以下の4つの要件が求められますが、対象文書ごとに主務省令で詳細な要件が定められています。
- 見読性(可視性): 必要なときに容易に表示・印刷できること。
- 完全性(真実性): 記録された情報が改ざんされていないこと。
- 機密性(セキュリティ): 不正なアクセスや漏洩から保護されていること。
- 検索性: 必要な情報を容易に検索できること。
関連法との違い
「e-文書法」は、会社法や商法、税法などに基づく民間企業で保存が義務付けられた法定文書全般を対象としています。
一方、よく比較される電子帳簿保存法は、その中でも**国税関係帳簿書類(帳簿類、決算関係書類、取引関係書類など)**の電子保存に特化したルールを定めた法律です。
e-文書法は、幅広い法定文書の電子化の基本的な考え方を定めたベースとなる法律と捉えることができます。
e-文書通則法とは?(小学生でもわかるように)
e-文書通則法は、会社でとても大切な書類(契約書、お金の記録、会社のルールなど)を、紙ではなくてコンピューターのデータ(電子データ)として保存してもいいよ、ということを決めた法律の名前です。
なぜこの法律ができたの?
昔は、法律で「この書類は必ず紙で残しておかないといけない!」と決まっていました。
- 紙だと大変!: 大切な紙の書類がたくさん増えすぎて、会社に置く場所がなくなったり、探すのがとても大変になったりしていました。
- コンピューターで便利に!: そこで、「コンピューターなら場所を取らないし、探すのも一瞬でできる!もっと便利にしよう!」ということで、**「電子データで保存してもOK」**にするルールが作られました。
電子データで保存するときの「お約束」
ただ、紙の代わりにデータで保存するときには、いくつか大切な**「お約束」**があります。
これは、データが途中でこわれたり、誰かに勝手に書きかえられたりしないようにするためのお約束です。
- ① いつでも見られること(見読性): パソコンやプリンターを使って、必要なときにいつでもはっきり見られるようにしておくこと。
- ② 間違いがないこと(真実性): データが本物で、勝手に書きかえられていないことを証明できるようにしておくこと。
- ③ 必要なものをすぐ探せること(検索性): 「去年の〇〇の契約書」のように、必要な書類をすぐにコンピューターで探せるようにしておくこと。
e-文書通則法は、この**「紙をデータに変えるときのお約束」**を、広い範囲の書類について定めた、とても大事なルールなのです。
e-文書通則法と電子帳簿保存法の関係
- e-文書通則法(お兄ちゃん): 会社で保存する全部の大切な書類の「お約束」を決めている。
- 電子帳簿保存法(弟くん): その中でも、税金に関係する書類(お小遣い帳のような、お金の記録)の「お約束」を、特に詳しく決めている。
つまり、e-文書通則法は、電子帳簿保存法よりももっとたくさんの書類に「電子で保存していいよ」という許可を出している、大元の法律だと考えるとわかりやすいですよ。