オーナーチェンジは契約内容と敷金が新しい大家さんに引き継がれる
「大家さんが賃貸物件が売却したらしいのですが、大家さんに預けている敷金はどうなりますか?」と入居者から不動産業者である私に質問を頂くことがあります。
賃貸物件を売却して大家さんが変わることをオーナーチェンジといいます。この際は物件が普通に売却されたのであれば「契約内容と敷金は新しい大家さんに引き継がれるので安心して良いですよ」と答えています。
賃貸物件は資産なので、資産を売却して現金にすることは普通にあります。珍しいことではありません。
賃貸物件を買った人は「入居者の契約を含めて購入をしている」ので、大家さんが変わっただけで契約の中身は一緒なので安心をして良いと思います。
もちろん、賃貸物件の新しい持ち主から家賃を値上げしたい等の交渉を頂くこともありますが、それに従う義務はありません。前の大家さんから交渉を頂いたつもりで判断をして大丈夫です。通常の交渉として応じられるか判断し、難しい場合には断っても良いと思います。
このように賃貸物件が大家さんが普通に売却をしたのであれば問題ありません。しかし、これが賃貸物件に掛けられている抵当権が原因で競売に掛けられた結果、所有者が変わったのであれば話は別です。
この際は、新しい所有者に賃借権が主張ができないため、退去を求められれば建物を明け渡す必要がありますし、追い出される際に引っ越し費用を出して貰えないこともあります。
また、抵当権の設定後に賃貸借契約をしている場合には敷金の引継ぎもされていませんので、前の所有者に返金を求める必要があります。
尚、基本的に賃貸物件を売却する場合には「競売に掛けられる」より「任意売却」することが多いように思います。任意売却する方が競売より高く売れると思われますので当然かもしれません。
賃貸物件を借りる際の宅地建物取引業法第35条に基づいて重要事項説明の際、抵当権の設定について説明があります。賃貸物件に抵当権が設定されている場合には、こうなる可能性がある旨を必ず説明を受けて契約をしています。
宅地建物取引業法第35条
宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(略)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(略)を交付して説明をさせなければならない。
一 当該宅地又は建物の上に存する登記された権利の種類及び内容並びに登記名義人又は登記簿の表題部に記録された所有者の氏名(法人にあつては、その名称)
もちろん、このようなトラブルに巻き込まれないように抵当権が設定されていない物件だけを探すことも可能です。しかし「それは契約時に設定されていないだけで将来が約束されたものではない」ため、これは借りる側が防ぐことが難しい内容です。
そのため、抵当権が設定されているだけであれば神経質になっても仕方がないとは思いますが、差押が開始している場合には話は別です。そのような物件は特別な理由でもない限り借りないことをお勧めします。
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