法定更新でも更新料を払わなければならないという特約はいらない

このサイトでは大家さんの立場で考えても「賃借人は法定更新による更新の場合でも更新料を払う」という内容の特約は不要であるという私見を記載します。

まず、軽めに法定更新のことを記載した後、本題の特約のことを記載します。端的にまとめましたので是非最後までお読み頂ければと思います。

目次
1.借主が更新料を支払いたくないという理由で法廷更新を主張するのは違う
2.法定更新でも更新料を払わなければならないという特約はいらない理由

1.借主が更新料を支払いたくないという理由で法廷更新を主張するのは違う

法定更新のことは過去にブログの法定更新をしたので更新料は支払いません法定更新をしても合意更新は必要ですに記載していますので、宜しければご参考頂ければと思います。

その内容は大体下記のようなものです。

  1. 「更新料を支払いたくない」という理由で合意更新をしないで法定更新をすると借主からご主張頂くことはありますが、この内容は裁判で通用しない可能性があります。
  2. その理由としては、契約書に合意更新すると定めているにも関わらず理由もなく拒否するのは「ただの契約違反」であるためです。
  3. 法定更新は、例えば「大家さんからの請求が社会通念上で考えて過剰であるため、それを拒否した結果、法定更新になってしまった」という状況であれば裁判所も借主の味方をすると思います。しかし、更新料を支払わないための権利として法定更新を乱用するのは違うと判断される可能性があると思われます。

私は過去に数多くの「更新料を支払わないための裏技として法定更新を推奨しているインターネットサイト」を見たことがあります。これの全部が間違いとは言いませんが、基本的にこれで「誤った知識」が広まっている可能性があると思っています。

私は、このようなサイトの影響を受けたと思われる借主から「法定更新をしたい。合意更新をするメリットがない」等の多くの交渉を頂いたことがあります。

更新料を払いたくないというお気持ちはわかるのですが、この場合では借主から尤もと思えるご理由を頂いたことはありません。

正当な理由もなく法定更新をご主張する借主は、大家さんにとって「変なご入居者」でしかなく、そのような方とどこまで関わるかという問題でしかありません。

この交渉の結果、大家さんが反論して争いになった結果、裁判まで進んだ場合には、借主が負ける可能性が高いとは思います。

しかし、これは労力と費用が掛かる割には見返りがないため、大抵の場合ですが更新料は賃料の一か月分程度であることが多く、この金銭のために借主と争って請求をしたくないと思った場合には、そのまま泣き寝入りすることもあるのです。

これは法定更新が認められたというより踏み倒しているだけという可能性があります。

2.法定更新でも更新料を払わなければならないという特約はいらない理由

このような借主の対応をするために、賃貸借契約書の特約等に「法定更新をした場合でも更新料を支払わなければならない」旨を記載した方が良いとアドバイスを頂くことがあります。

確かに、この特約は法的にも有効であり、賃借人が法定更新だと主張しても特約の内容を説明すれば解決をする可能性はあります。

そのため、これは一見良い特約のように思えますが、この特約を理由にして更新料を受領した場合「賃貸借契約は法定更新の状態になったことを認めた」とも考えられますので、そこが注意となります。

法定更新は期限の定めのない契約です。そのため、この状態になった場合、新たな合意をしない限り契約期間について満期がくることはありません。当然ですが以後の更新手続きがなくなるのです。

まれに「この特約があれば法定更新になった後も契約満期が訪れて、その度に更新料を請求することができる」と思い込んでいる方はいますが、それは誤りとなります。

この「通常契約の満期に一度だけ更新料を払えば以後は掛からないこと知っていて、その上で貸主と借主がこの特約で契約をする」のであれば、それも一つの答えなので問題はないと思います。知らずに行うと将来の問題となる可能性がありますので注意です。

私的には法定更新を認めるような文章は契約書に不要ではないかと考えています。

まとめ

法定更新のご主張で争いになる場合、大家さんは非常に面倒な対応をしなければならなくなります。

その結果、大家さんからの更新料の請求がなくなったとしても、それは法定更新が認められたのではなく、関わるのが面倒なのでこなくなっただけという可能性があります。

このような場合、大家さんからの印象は最悪になっておりますので、そもそも信頼で成り立っている賃貸借契約でこのような行為をするべきではないと思います。

このような行為を「更新料を払わなくて済む裏ワザ」として広めた方も問題があるように思いますが、それに乗る方も同罪とも考えられます。知らなかったでは済まない場合も可能性ありますので、インターネットのナゾ情報を信じるのは自由ですが、その結果については無責任ではありませんので要注意だと思います。

最後までお読み頂きありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。

サイトのまとめ
1.更新料を支払いたくないので法廷更新を主張するのは違う
2.法定更新でも更新料を払わなければならないという特約はいらない理由

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