一身専属権とは

本ページはGemini2025.10.27作成の記述です。

**一身専属権(いっしんせんぞくけん)**とは、その権利または義務が、特定の個人だけに帰属し、他人に譲渡したり、相続させたりすることが許されないという性質を持つものを指します。

​「一身(いっしん)」は「その人自身」を意味し、「専属(せんぞく)」は「それだけに属する」という意味です。

​核心的な特徴

​一身専属権の最も重要な特徴は、その権利が個人の人格特別な人間関係に基づいて発生している点にあります。そのため、財産権のように自由に取引することができません。

  1. 譲渡禁止: 他人に売ったり、譲り渡したりできない。
  2. 相続の対象外: その人が死亡すると同時に、原則として消滅し、相続人が承継することはない。
  3. 債権者代位の対象外: 債権者代位権を行使して、債務者に代わって権利を行使することもできない(民法第423条)。

​一身専属権の主な分類と具体例

​一身専属権は、主にその性質から以下の2つに分類されます。

​1. 帰属上の一身専属権(権利を持つ人自体が限定されるもの)

​権利の成立・存続が、特定の人の身分や生活と密接に結びついており、権利の主体そのものが他人には移転しないものです。

具体例説明
扶養請求権家族などに生活の援助を求める権利。権利者と義務者との身分関係に基づき、その人自身に専属する。
年金受給権公的年金など、その人の老齢や障害といった状態に基づいて支給される権利。
生活保護受給権その人の生活状況に基づいて保護を受ける権利。
組合員の地位組合や法人における社員(構成員)の地位。その人個人の信頼や協力関係に基づいており、原則として他人に譲渡できない。

2. 行使上の一身専属権(行使する行為が特定の人に限定されるもの)

​権利自体は金銭的価値を持ち、他人に移転する可能性があるものの、行使する行為が特定の人の意思に委ねられているものです。

具体例説明
取消権・解除権詐欺や強迫によって契約した際の取消権など。意思表示を目的とする行為は、原則として権利者自身が行使すべきとされる。
慰謝料請求権不法行為

遺言は、財産に関する最終的な意思表示ですが、その作成と撤回は遺言者本人の自由な意思に基づく行為であり、一種の一身専属的な行為といえます。

行政書士試験自習室へ

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です