マクリーン事件(行政書士試験)

マクリーン事件判決文(判決文は、この文のリンク先の下のpdfです)

自習メモ
・【概要】出入国管理法に基づく在留期間更新の申請拒否処分の取消訴訟を提起して棄却判決となる。


判決文等重要ワード
・憲法14 条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とされているが外国人の人権は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶ。」
・憲法第22条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。②何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」とされているが「外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものでない。」
・全く事実の基礎を欠き又は社会通念上著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつたものとして違法となる
・法務大臣の裁量権の範囲が広汎なものとされているのは当然

令和5年度問10(行政書士試験過去問)

ア.在留期間更新の判断にあたっては、在留規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持など国益の保持の見地のほか、申請者である外国人の在留中の一切の行状を斟酌することはできるが、それ以上に国内の政治・経済・社会等の諸事情を考慮することは、申請者の主観的事情に関わらない事項を過大に考慮するものであって、他事考慮にも当たり許されない。

答えはクリック

誤り


(チャットGTP)法務大臣は在留期間更新の判断にあたり、申請者の行状に加えて国内外の政治・経済・社会等の諸事情を考慮することが認められており、それは他事考慮には該当しないとされています。

Q 現実的に、どの文章を読んでこの問題が間違いだと気づかなければなりませんか?(チャットGTP問)
A 問題文の「国内の政治・経済・社会等の諸事情を考慮することは許されない」という部分が、判例の内容に反しているため、この箇所を読むことで、問題文が誤りであると気づくことができます。

判決文の以下の部分が参考になります:
 「法務大臣は、在留期間の更新の許否を決するにあたつては、外国人に対する出入国の管理及び在留の規制の目的である国内の治安と善良の風俗の維持、保健・衛生の確保、労働市場の安定などの国益の保持の見地に立つて、申請者の申請事由の当否のみならず、当該外国人の在留中の一切の行状、国内の政治・経済・社会等の諸事情、国際情勢、外交関係、国際礼譲など諸般の事情をしんしやくし、時宜に応じた的確な判断をしなければならない」
この部分には、法務大臣が在留更新の判断をする際には、国内の治安や風俗の維持といった「国益の保持」の観点に加え、「国内外の政治・経済・社会情勢なども考慮して良い」と記載されています。この文から、「国内の政治・経済・社会等の事情」を考慮することが法務大臣の裁量範囲内であり、許容されるものであることが確認できます。

イ.在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由の有無にかかる裁量審査においては、当該判断が全く事実の基礎を欠く場合、または事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により当該判断が社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くことが明らかである場合に限り、裁量権の逸脱、濫用として違法とされる。

答えはクリック

正しい


(チャットGTP)
問題文の内容は、この判例における裁量権の範囲に関する判断を正確に表しています。
具体的には:
1. 行政の裁量権は、事実に基づいて適切に行使されるべきものであり、**「全く事実の基礎を欠く場合」や「事実に対する評価が明白に合理性を欠く場合」**においてのみ、裁量権の逸脱・濫用として違法とされる。
2. 行政機関の判断が「社会通念に照らして著しく妥当性を欠く場合」に限り、司法審査による介入が認められる。
したがって、問題文の記述はマクリーン事件の判例理論に則した正しい記述であるといえます。

ウ.在留期間更新の法定要件である「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」があるかどうかに関する判断について、処分行政庁(法務大臣)には裁量が認められるが、もとよりその濫用は許されず、上陸拒否事由または退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新申請を不許可にすることはできない。 

答えはクリック

誤り


(チャットGTP)
問題文では、**「上陸拒否事由または退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新申請を不許可にすることはできない」 **と述べられていますが、この点が誤りです。

**マクリーン事件(最高裁昭和53年10月4日判決)**では、在留期間の更新に関する法務大臣の裁量が広範であることが明確にされています。この裁量には、上陸拒否事由や退去強制事由に該当しない場合でも、不許可とする判断が含まれることが認められています。

判例のポイント

1. 法務大臣の裁量の範囲
在留期間の更新を認めるかどうかについては、法務大臣に広い裁量が与えられています。その判断は単に法律に定められた上陸拒否事由や退去強制事由の有無だけでなく、総合的な事情を考慮して行われます。

2. 「相当の理由」の解釈
「相当の理由があるかどうか」という判断は、個別具体的な事情をもとに行われ、法務大臣が総合的に適当でないと判断した場合には更新を不許可にすることが可能です。

3. 裁量の濫用が問われる基準
その裁量が濫用されたと評価されるのは、**「全く事実の基礎を欠く場合」や「社会通念上著しく妥当性を欠く場合」**に限られます。

結論

問題文は「上陸拒否事由または退去強制事由に準ずる事由に該当しない限り更新申請を不許可にすることはできない」と述べていますが、このような限定はマクリーン事件の判例理論に反しています。したがって、この記述は誤りです。

エ.外国人の在留期間中の政治活動について、そのなかに日本国の出入国管理政策や基本的な外交政策を非難するものが含まれていた場合、処分行政庁(法務大臣)がそのような活動を斟酌して在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるものとはいえないと判断したとしても、裁量権の逸脱、濫用には当たらない。 

答えはクリック

正しい


(チャットGTP)
マクリーン事件(最高裁昭和53年10月4日判決)では、外国人の在留期間更新に際して、外国人の政治活動が更新許可の判断にどのように影響を与えるかが議論されました。

判例のポイント

1. 外国人の政治活動と在留資格
外国人には日本国内での政治活動を行う自由が認められていますが、この権利は日本国内での滞在を認めるかどうかという出入国管理上の裁量権とは分離して考えられます。
出入国管理の判断において、法務大臣はその政治活動の内容を考慮して、在留期間更新を適当と認めるかどうかを判断することができます。

2. 出入国管理政策の斟酌
外国人の政治活動が日本の出入国管理政策や基本的な外交政策を非難する内容であった場合、処分行政庁(法務大臣)はその活動を更新判断の際に斟酌することが許されます。
この際、判断が「全く事実の基礎を欠く」や「社会通念上著しく妥当性を欠く」場合を除き、法務大臣の裁量が広く認められ、司法審査でその裁量を違法とすることは困難です。

3. 裁量権の逸脱・濫用に該当しない基準
日本の出入国管理政策や基本的外交政策を非難する活動を理由に在留期間の更新を認めない判断は、裁量権の逸脱・濫用には当たりません。

結論

問題文の記述は、マクリーン事件の判例理論に基づいており、「外国人の政治活動を斟酌した結果、在留期間更新を不許可とする判断が裁量権の逸脱・濫用に当たらない」という点で正しい内容です。このような政治活動の扱いに関する裁量権の広さは、行政書士試験で重要な論点です。

オ.外国人の政治活動は必然的に日本国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼすものであるから、そもそも政治活動の自由に関する憲法の保障は外国人には及ばず、在留期間中に政治活動を行ったことについて、在留期間の更新の際に消極的事情として考慮することも許される。

答えはクリック

誤り


(チャットGTP)
マクリーン事件の判例では、憲法の基本的人権の保障は、日本国民のみを対象とするものを除き、外国人にも原則として及ぶとされています。ただし、外国人の政治活動が日本の政治に重大な影響を与える場合には制限され得るとされており、全面的に保障が及ばないとする記述は判例の趣旨に反します。

平成29年度問3の1(行政書士試験過去問)

わが国の政治的意思決定またはその実施に影響を及ぼすなど、外国人の地位に照らして認めるのが相当でないと解されるものを除き、外国人にも政治活動の自由の保障が及ぶ。

答えはクリック

正しい


(チャットGTP)
正しい記述です。マクリーン事件では、外国人にも政治活動の自由が憲法上保障されるとしつつ、「わが国の政治的意思決定やその実施に影響を及ぼすなど、外国人の地位に照らして認めるのが相当でない活動」は除外されると判断されました。

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