賃貸物件借りるとき、どんな保険を契約すればいいの?
賃貸物件を借りているのに火災保険に加入をしていない方は多いです。
以前、賃貸物件のご入居者様から「家を借りるだけなのに、どうして火災保険に加入をしなければならないんだ。保険は貸主が入るものだろう」 というご指摘を頂いたことがあります。
私が個人的に家を借りる場合、火災保険に入らないという選択はありえないです。
それは保険に入らないリスクを知っているからです。
私は商売柄2万円程度の保険料を惜しんだだめに、100万円以上の損害賠償を背負った方を何人も知っています。
そのため、これはまったく無駄な出費ではないと断言します。
尚、賃貸借契約上、 火災保険の加入を義務としている場合はあります。但し、いずれの場合でも保険業法上では、どのような保険に加入をするか選ぶことができます。
このサイトでは、なるべく専門的な文章にならないように、この次のようなことを説明します。
- 家を借りるだけなのに、なぜ火災保険に加入をしなければならないのか
- どのような火災保険に加入をすればいいか
このサイトを最後までお読み頂くと賃貸借契約で必要な火災保険はどのようなものなのか分かるようになります。
それでは早速、内容に入ります。
目次
1.家を借りるだけなのに、なぜ火災保険に加入をしなければならないのか?
2.火事なんて殆どおきない? 可能性の低いことにお金を使うのはもったいない
3.どのような火災保険に入るべきか
1.家を借りるだけなのに、なぜ火災保険に加入をしなければならないのか?
賃貸物件で考えなければならないのは次の二点のリスクがあるためです。
- 借りた物件を無事な姿で返さない場合と賠償責任を負う可能性がある。
- 集合住宅を借りた場合、漏水等で賠償責任を負う可能性がある。
この損害賠償は人生終了レベルというと大げさですが多額になることを前提に考えることを推奨します。
損害賠償が敷金レベルで納まる訳がありません。理由は簡単で、敷金と同額で家は建築できないからです。
ここは難しい理屈を書きますが、日本には失火責任法という法律があります。内容は火事を起こしても賠償責任を負わないという法律です。そのため、火事を起こしても責任はないと考える方もいると思いますが、賃貸借の場合にはそうとはなりません。
賃貸借契約の場合、賃借人に原状回復義務があるため、燃えたものも元に戻さなければなりません。
これは義務となります。
下記に念のため法律を記載します。
【読みにくいですが失火責任法と民法を記載しておきます】
失火ノ責任ニ関スル法律
民法第七百九条 ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス
民法第415条 (債務不履行による損害賠償)
1 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
民法第709条【不法行為による損害賠償】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
私が把握している限り、賃貸物件で火事を出した賃借人が損害賠償として額として約1800万円を負った事例があります。これは保険金で賄われました。
また、これ以外にも1200万円オーバーの事故が数件あったことも知っています。
内容にもよりますが火災保険には年間で5000円~1万円程度の保険料を支払えば入れることを知っています。
繰り返しますが賃貸借契約で家を借りた場合、無事な姿で返すことができない場合、賠償責任を負う可能性があります。
私は、この保険のコスパは良いと考えておりますので必ず加入をすることをお勧めします。
2.火事なんて殆どおきない!? 可能性の低いことにお金を使うのはもったいない
基本的に火事はなかなか起きません。
私がこの十数年で関わったことがある火事は片手で数えられる数だけです。
しかし、火事以外にも事故はあります。
賃借人が負う賠償責任の事例としては水漏れを起こす場合が多いです。「トイレを詰まらせる」「洗濯機のホースが外れる」「洗面台の水を流しっぱなしで外出する」というようなことです。
トイレの水漏れは最悪です。漏水で汚れたものは使えなくなりますので被害額が数十~数百年万円になる想定は必要だと思います。これは高級マンションの話ではなく単身者用の安いアパートでもこの程度になることは普通にあります。
このようなことが原因で他人の居室の家具家電を使えなくしたり、これ以外にも不意な事故で怪我をさせた場合、個人賠償責任が発生する可能性があります。
尚、個人賠償責任保険で一番多い事故は水漏れですが、保険料を安くするために水漏れの際に保険金がでない火災保険に入る方がいます。
これは勿体無い掛け方だと思いますので、確率の高い事故には備えることを推奨します。
3.どのような火災保険に入るべきか
賃貸物件では、大半の方が不動産会社から推奨される家財保険をそのままご加入されると思います。
大抵は、この保険で問題はないのですが、事故の際に補償する保険金が低すぎると思えるものがあるため、不安になる商品も存在します。
家財保険は、その名の通り、入居者の家財に事故があった場合に保険金が支払われる商品となります。
ただ、これまで説明しました通り、賃貸で必要なのは家財の補償ではなく賠償責任についての補償なので、ここを確認します。
私が推奨する賠償責任の保険金額は【借家人賠償2000万円以上~ 】【個人賠償 2000万円以上~ 】です。
借家人賠償は大家さんに支払う賠償責任の保険です。個人賠償は大家さん以外に個人的に支払う賠償責任保険です。
不動産会社から【小額短期保険】を推奨された場合には、この額に達していないものが多いため、状況が許すのであればこの額に達する保険を選ぶことをお勧めします。
過去の事例を考えると賠償責任額が1000万円程度の場合には、火事を出した際、保険金が数百万円単位で足りなくなる可能性があると判断します。
また、保険料が安くするために、借家人賠償責任保険には加入をしても個人賠償責任保険には加入をしていない方がいます。
基本的には事故の際、保険金で賠償責任を負えるかを重視して個人賠償責任保険も加入されることをお勧めします
まとめ
賃貸物件を借りる場合、私のお勧めとしては 推奨の保険金は【借家人賠償2000万円以上~ 】【個人賠償 2000万円以上~ 】となります。
尚、賃貸物件は入居者が保険に入るだけではなく、大家さんの入居者に対する賠償責任保険【施設賠償責任保険】には加入をするべきです。
大家さんが加入をする【火災保険】には 【施設賠償責任保険】 が付帯されていないことも多く、これが原因でトラブルになることも多いです。
家を建築するコストを考えれば保険料は安く、また経費にできる点を踏まえても入居者だけではなく大家さんの必ず保険に加入をすることは重要となります。
最後までご覧頂きありがとうございました。こちらのサイトが何かのお役に立てば幸いです。
サイトのまとめ
1.家を借りるだけなのに、なぜ火災保険に加入をしなければならないのか?
2.火事なんて殆どおきない? 可能性の低いことにお金を使うのはもったいない
3.どのような火災保険に入るべきか