法定更新をしても合意更新は必要です
随分前から「法定更新をすれば合意更新をしなくて良い」という情報がインターネットで確認できます。
これは賃貸住宅の契約更新時に発生する「更新料」を支払わないための裏ワザのように紹介されているものです。
この情報は、すべてが間違いではありませんが基本的に正しくはないように思います。
ここのサイトに記載しましたが、この情報を信じた賃借人が悪質な対応をした結果、裁判をすることがあります。
一例ですが、賃貸人が契約書に乗っ取って正当な手続きをしているにも関わらず、賃借人が無視し続けた結果、法律上の「法定更新」となったことを理由にして、更新手続きをしない等を私は不動産業者として経験しています。
これをする理由が「賃貸人等から社会通念上から考えて不当な請求を受けていため、致し方なく法定更新になる」というのであれば、賃借人の判断は正しいものです。この場合なら裁判所は賃借人の味方をすると思われます。
しかし、賃貸人等が「通知、電話、訪問、投函」等をしても無視を続けた結果、法定更新になったので合意更新をしないというのは、賃借人の行為が認められる可能性が低いと思われます。
大抵は契約書に契約満期後も賃貸借契約を続ける場合には協議の上、更新をする等の合意更新の内容が記載されていると思われます。
この場合、更新手続きをしないのは賃借人の契約違反なので、当たり前ですが「契約違反をしている理由」が争点となります。
法定更新になれば更新料を払わなくて良いので合意更新をしないというのは理由にならないので注意となります。
法定更新は、借地借家法第26条と第28条で定められておりますが、これは悪質な賃貸人から「賃借人が追い出されないように保護をするため」に規定されているものです。
「法定更新になれば追い出されない」ことを理由にして契約違反をして良いと定められている訳ではないのです。
経験上ですが、確信して「法定更新」を維持する賃借人の問題を解決する一番の方法は賃貸人が裁判を起こすことだと思います。割と裁判所の召喚には応じて頂けるものです。しかし、手間暇と費用が掛かるので、基本的にそこまでやる賃貸人は少ないと思います。
私は、長年更新手続きをして頂けない賃借人に対して、過去数回分の更新料等をまとめて法廷で請求をしたことはあります。
一回の更新では少額ですが、纏まるとそれなりに高額となります。
細かくは書きませんが、その請求内容は法的にも認められる内容でした。もちろん、時効とならないように賃借人が債務について承認している証拠や請求記録等も重要となります。
尚、正当な理由がない状況で賃借人が法定更新を主張する場合、賃借人のご主張がメチャクチャであることが多く、そうでなくとも大抵は賃貸人が賃借人を嫌うことが殆どです。
信頼関係で成り立っている賃貸借契約でこのような行為はしないことが好ましいと思います。相手は機械ではなく人間なので、嫌われたら挽回は難しい場合が殆どではないかと思います。
最後までお読み頂きありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。