所有権-土地家屋調査士試験過去問
土地家屋調査士過去問H17-3
次の対話は、甲建物の賃借人をA、所有者兼賃貸人をBとした場合の甲建物等の所有権の取得に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
教授: AがBの同意を得ないで甲建物の一室にエアコンを設置した場合には、エアコンの所有権の帰属はどうなりますか。
学生:ア AがBの同意を得ていないので、Bが所有権を取得します。
教授: では、AがBの同意を得ないで甲建物に改装をした結果、改装前に1,000万円であった甲建物の価値が改装後に3,000万円となった場合には、甲建物の所有権の帰属は、どうなりますか。
学生:イ AがBの同意を得ていなくても、改装によって甲建物の価値が倍以上に増加していますから、甲建物の所有権は、Aに帰属します。
教授: AがBの同意を得てAが提供した材料を用いて出窓を増築した場合において、AB間に所有権の取得について特約がないときは、出窓の所有権の帰属は、どうなりますか。
学生:ウ 出窓には独立性が認められないので、AがBの同意を得ていても、出窓の所有権は、Bに帰属します。
教授: AがBの同意を得て、平屋の甲建物の2階として、独立した玄関口があり、かつ、1階とは内部で通じていない居宅を増築した場合において、AB間に所有権の取得について特約がないときは、甲建物の2階部分の所有権の帰属は、どうなりますか。
学生:エ 甲建物の2階部分が独立性を有し、区分所有権の対象となる場合には、Aがその所有権を取得します。
教授: ところで、Aが増築した部分の所有権をBが取得することとなる場合に、Aは、Bに対し、金銭の支払いを請求することができますか。
学生:オ その場合であっても、Aは、当該部分を継続して使用することができますので、Bに対して金銭の支払いを請求することはできません。
土地家屋調査士過去問H20-2
イ A所有の甲土地がAからBに贈与されたが、その旨の登記がされる前にAは死亡した。その後、Aの唯一の相続人であるCは、甲土地をDに売却して、その旨の登記がされた。この場合に、Bは、Dに対して、甲土地の所有権取得を対抗することができる。
ウ A所有の甲土地がAからBに売却されたが、その旨の登記はされていない。この場合には、Bは権原なく甲土地を占有しているCに対して、甲土地の所有権所得を対抗することができない。
オ A所有の甲土地がAからBに売却されたが、その旨の登記がされる前に、甲土地はAからC、CからDへと順次売却され、その旨の登記がされた。Bに対する関係で、Cは背信的悪意者であるがDは背信的悪意者ではない。この場合に、Bは、Dに対して、甲土地の所有権取得を対抗することができない。
土地家屋調査士過去問H22-2
次のアからオまでの事例のうち、判例の趣旨に照らしAがBに対して土地の所有権を主張することができないものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。
ア Cが所有する土地をAに売却したが、所有権の移転の登記をしないうちに、Bが権原がないのにその土地を占拠した。
イ Cが所有する土地をAに売却したが、所有権の移転の登記をしないうちにCの一般債権者Bがその土地についてその土地について仮差押えをした。
ウ Bが所有する土地をCに売却したが所有権の移転の登記をしないうちに、CがAにその土地を売却した。
エ Bが所有する土地をCに売却して所有権の移転の登記をし、CがAにその土地を売却したがその所有権の移転の登記をする前に、BがCの代金未払を理由にBC間の売買契約を解除した。
オ 未成年者Aは、法定代理人Cの同意を得ないで、A所有の土地をDに売却し、Dは、Aが未成年者でDへの売却についてCの同意を得ていないことを知らないBに対し、その土地を売却した。その後、CがAのDに対する売買の意思表示を取り消した。
土地家屋調査士過去問H29-2
次の対話は、不動産の物権変動に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
教授:A所有の土地をBがCに売却し、その後BがAから当該土地を買い受けた場合において、いずれの売買契約において、いずれの売買契約にも所有権の移転時期や方法に関する特約がないときは、当該土地の所有権は、いつの時点でCに移転しますか。
学生:ア BがAから当該土地を買い受け、かつ、AからBへの所有権の移転の登記がされた時点で、Cに当該土地の所有権が移転することになります。
教授:Cが占有しているA所有の土地をAがBに売却し、AからBへの所有権の移転の登記がされた後、Cにつき当該土地の取得時効が完成して、Cが時効を援用した場合、CはBに対し、登記なくして当該土地の所有権を主張することかできますか。
学生:イ はい。 Cは、Bに対し、当該土地の所有権を主張することができます。
教授:A所有の土地をAがBに売却し、AからBへの所有権の移転の登記がされた後、Aが、Bの債務不履行により、当該売買契約を解除しました。しかし、その解除後、BがCに当該土地を売却し、BからCへの所有権の移転の登記がされた場合、Aは、Cに対し、登記なくして当該土地の所有権を主張することができますか。
学生:ウ はい。 AはCに対し、当該土地の所有権を主張することができます。
教授:A所有の土地をAがBに売却したが、AからBへの所有権の移転の登記がされる前に、Cが権原なく当該土地の占有を開始した場合、BはCに対し、登記なくして当該土地の所有権を主張することができますか。
学生:エ はい。 Bは、Cに対し、当該土地の所有権を主張することができます。
教授:A所有の土地をAがBに売却した後、AからBへ所有権の移転の登記がされる前に、Bからその登記の申請を受託していたCが、Aから当該土地を買い受け、AからCへの所有権の移転の登記がされた場合、BはCに対し、登記なくして当該土地の所有権を主張することができますか。
学生:オ はい。 BはCに対し、当該土地の所有権を主張することができます。
土地家屋調査士過去問H29-7
所有権を有することを証する情報に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1かた5までのうち、どれか。
ア Aが所有権の登記名義人である互いに接続する2個の区分建物について、隔壁の除去などの物理的な変更を伴わずに1個の区分建物ではない建物とする場合に行う登記の申請には、所有権を有することを証する情報を添付しなければならない。
イ Aが所有権の登記名義人である建物について、一部取壊しの工事が完了した3週間後に増築の工事が完成した場合において、一の申請情報によって建物の表題部の変更の登記を申請するときは、全ての工事完成後の床面積が減少する場合であっても、所有権を有することを証する情報を添付しなければならない。
ウ Aが所有権の登記名義人である建物の全部を取り壊し、当該建物の材料を用いて当該建物と同じ種類、構造及び床面積の建物を別の土地に建築した場合に行う登記の申請には、所有権を有することを証する情報を添付しなければならない。
エ Aが所有権の登記名義人である建物の屋根を瓦から亜鉛メッキにふき替える工事を行った場合に行う登記の申請には、所有権を有することを証する情報を添付しなければならない。
オ Aが所有権の登記名義人である種類が車庫の建物について、床面積を変更することなく、当該車庫の開口部にシャッターを設置して倉庫とした場合に行う登記の申請には、所有権を有することを証する情報を添付しなければならない。