実は専門家でも知らない?宅地建物取引業の「代理」とは
目次
1.宅地建物取引業法の不動産取引とは
2.民法の代理
3.宅地建物取引業法では「何が代理」か定められていない。
「民法の代理」と「宅地建物取引業法の代理」は、内容が違います。
このサイトでは、宅地建物取引業法の「代理」の意味について分かり易く説明することに挑戦します。
「代理」なんて解説しなくても分かっていると思っている方はいると思います。
私は、ここで声を大にして言います。
その理解は本当に正しいでしょうか?
以前、自分なりに「代理」について調べたとき、正しい答えを手に入れるために非常に苦労したことがあります。
インターネットには、たくさんのサイトがありますが、私には正しい内容を書いてある場所を見つけることができなかったため、都道府県庁へ問い合わせをするまで間違えた解釈をしていました。
また、法律の専門家である弁護士に尋ねたことはありますが、 「民法の代理」に引っ張られた返答であったため、正しい内容ではなかったのです。
しかも都道府県庁から頂いた宅地建物取引業法の代理の解説は私には理解するのが困難な内容でした。
あの時は完全に思考停止していて同じ質問を繰り返す程、私には意味不明な内容だったことを覚えています。
このサイトの結論である宅地建物取引業法の「代理」の内容を先に記載しますが、契約の代理を頼んだ「代理人」が契約の手続きをした場合、この取引は民法では代理ですが、 宅地建物取引業法の「代理」ではありません。
代理人が買主借主等の「媒介(仲立ち)」をした後に、売主貸主の「代理」として契約を締結した場合には、 宅地建物取引業法の「代理」となります。
繰り返しますが、代理人が「媒介」をして「代理」をすると宅地建物取引業法の代理になります。「代理」で契約をしただけでは「代理」になりません。
代理で契約をしていれば代理だと考えてはだめです。媒介をしているのかを考えるのです。
この代理をしただけでは代理にならないというのが、私には完全に意味不明でした。
1.宅地建物取引業法の不動産取引とは
まずは宅地建物取引業法の不動産取引について軽く触れたいと思います。
町中で、家や土地等の売買や仲介をしている不動産屋さんは免許制です。
もし無免許で営んでいる場合には、宅地建物取引業法違反として処罰の対象となります。
そのため、必ず「宅地建物取引免許」を取得しています。
この免許を取るためには、都道府県知事若しくは国土交通大臣から許可を貰わなければなりません。
宅地建物取引免許が必要な不動産取引とはどのようなものを言うのでしょうか?
「家の売買」、「家の賃貸」が不動産取引だと想像できた方は、大体それで正解です。
正確に申し上げますと不動産取引とは、 自らの所有している土地建物の 売買、交換 と、他人物を売買、交換 、賃貸をするために「代理」や媒介することを言います。
自ら所有している土地建物を貸し出す場合には不動産取引には当たりません。
当然かも知れませんが旅館やホテル、最近ではネットカフェ等、建物を貸し出している方は多くいますが、それらは不動産取引には当たらないのです。
2.民法の代理
宅地建物取引業法の代理を説明する前に、 こちらも軽くですが民法上の代理について説明します。
ここは引用させて頂きますがat homeのこのサイトで「本人と一定の関係にある他人が意思表示を行ない、その意思表示の効果が本人に帰属するという法制度」という非常に的確な解説がされています。
代理人が行った契約行為は、本人が行ったことになります。理由として本人の代理として契約をした場合には本人が契約したことと同じ意味を持つからです。
ちなみに民法では代理について下記のように定められています。
民法 第99条
① 代理人がその権限内において本人のためにすることを示してした意思表示は、本人に対して直接にその効力を生ずる。
② 前項の規定は、第三者が代理人に対してした意思表示について準用する。
3.宅地建物取引業法では「何が代理」か定められていない
当事者の依頼で当事者の代理で契約書に署名捺印をする行為は民法の代理です。
しかし、これは宅地建物取引業法では代理ではありません。
都道府県庁に確認済みですが、 この行為だけでは「代理」に当たらないため、宅地建物取引業法でいう免許は必要ありません。
契約書に署名捺印するだけの代理は不動産取引ではないのです。
まず、この場合には「媒介」をしているか考えなければなりません。
例えば広告等で集客し、お客様に不動産を紹介をしているか。
この行為の結果、代理で契約をする場合には、「宅地建物取引業法の代理」になるため、これを業とする場合には宅地建物取引免許が必要となります。
ちなみに、なぜ民法の代理行為だけでは免許が不要なのか申し上げますと、宅地建物取引業法では代理がどういう行為なのか定められていないからです。
もう一度書きますが、宅地建物取引業法では「代理」で契約をする場合には免許が必要となっていますが、「代理」が何かという定めはされていません。
しつこく書きますが「代理」とは何かが決まってないのです。
そのため、代理手続きだけで免許が必要となることがありません。
宅地建物取引業法には「代理」を業とする場合、宅地建物取引免許が必要とされていますが、「代理とは何か」が決まっていないため、「代理」の行為だけで免許が必要になることがないのです。
そのため、代理行為をした上で媒介をしない限り、宅地建物取引業法での代理にはならないとなります。
これを理解するのに私は非常に時間が掛かりました。
下記に宅地建物取引業法を記載します。
宅地建物取引業法
第二条 二 宅地建物取引業 宅地若しくは建物の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行うものをいう
ここまで書いてあるにも関わらず、代理とは何かが決まっていないとは思ってもみませんでした。
まとめ
私の考えるところで恐縮ですが、民法上の代理行為を取り締まるために宅地建物取引免許は定めていないのだと思います。
不動産取引の媒介を取り締まるために代理という文字を書く必要があったのではないかと考えています。
この文字を書かないと代理だから媒介ではないという抜け道があると考えられるからです。
最後までご覧頂きありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。
サイトのまとめ
1.宅地建物取引業法の不動産取引とは
2.民法の代理
3.宅地建物取引業法では「何が代理」か定められていない。