南九州税理士会事件判決文(判決文は、この文のリンク先の下のpdfです)
平成16年度 問4(行政書士試験過去問)
次の文章は、最高裁判所の判決の一節である。判決の趣旨に照らして、妥当でないものはどれか。
「税理士会は、税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資するため、会員の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的として、法が、あらかじめ、税理士にその設立を義務付け、その結果設立された法人である。法に別段の定めがある場合を除く外、税理士会に入会している者でなければ税理士業務を行ってはならないとされている。
税理士会が強制加入の団体であり、その会員である税理士に実質的には脱退の自由が保障されていないことからすると、その目的の範囲を判断するに当たっては、会員の思想・信条の自由との関係で、次のような考慮が必要である。
税理士会は、法人として、法及び会則所定の方式による多数決原理により決定された団体の意思に基づいて活動し、その構成員である会員は、これに従い協力する義務を負い、その一つとして会則に従って税理士会の経済的基礎を成す会費を納入する義務を負う。しかし、法が税理士会を強制加入の法人としている以上、その構成員である会員には、様々の思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することが当然に予定されている。したがって、税理士会が右の方式により決定した意思に基づいてする活動にも、そのために会員に要請される協力義務にも、おのずから限界がある。」
(平成8年3月19日 最高裁判所第三小法廷判決)
1.税理士会は、会社とはその法的性格を異にする法人であり、その目的の範囲についても、これを会社のような広範なものと解するならば、法の要請する公的な目的の達成を阻害して法の趣旨を没却する結果となることが明らかである。
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正しい
(チャットGTP)税理士会の法的性格と目的の範囲
・最高裁判決の趣旨は、税理士会を通常の会社法人と同様に扱うことができないことを明確にしています。税理士会は強制加入の団体であり、税理士業務の遂行のために法によって設立が義務付けられた法人です。会社とは異なり、税理士会の目的は税理士業務の指導・連絡・監督に関する事務に限定されています。
・このため、税理士会がその法的性格を超えて会社のように広範な活動や政治団体への寄付などを行うことは、法が予定する公的目的に反し、税理士会の本来の役割を逸脱すると判示されました。
この判決は、税理士会が公的な目的をもって設立された特殊法人であるため、一般企業のように広範な裁量での活動を行うことが法的に制約されると示しています。そのため、提示された文章の内容は妥当であり、この判決に反するものではありません。
2.政党に政治資金の寄付をするかどうかは、選挙における投票の自由と表裏を成すものとして、会員各人が市民としての個人的な政治的思想、見解、判断等に基づいて自主的に決定すべき事柄である。
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正しい
(チャットGTP)最高裁判決では、「政党など政治団体への寄付は、選挙での投票の自由と密接に関係するため、会員個人が自身の政治的思想や見解に基づいて自主的に決定すべき事柄である」としています。税理士会のような強制加入団体が、会員の意思に反して政治団体への寄付を強制することは、会員の思想・信条の自由を侵害する可能性があり、許されないという趣旨です。
3.税理士会は、税務行政や税理士の制度等について権限のある官公署に建議し、またはその諮問に答申することができるが、政治資金規正法上の政治団体への金員の寄付を権限のある官公署に対する建議や答申と同視することはできない。
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正しい
(チャットGTP)判決では、税理士会が税務行政や税理士制度に関して官公署に建議・答申する権限は認められるとしつつ、政治団体への寄付はその権限には含まれないとしています。税理士会が政治団体に対して金銭を寄付する行為は、税理士会の目的範囲を超えたものであり、法が予定する活動ではないと判断されました。
4.税理士会が政治資金規正法上の政治団体に対して金員の寄付をすることは、たとい税理士に係る法令の制定改廃に関する要求を実現するためであっても、原則として、税理士会の目的の範囲外の行為であり、無効といわざるを得ない。
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正しい
(チャットGTP)判決では、税理士会が政治資金規正法上の政治団体に金銭を寄付する行為は、たとえ税理士法の改正に関連するものであっても、税理士会の法定の目的を逸脱するものであり、無効とされています。税理士会の目的は、税理士の業務に関する指導や監督であり、政治団体への寄付のような政治的活動はその範囲に含まれないと明示されました。
5.税理士会の目的の範囲内の行為として有効と解されるのは、税理士会に許容された活動を推進することを存立目的とする政治団体に対する献金であって、税理士会が多数決原理によって団体の意思として正式に決議した場合に限られる。
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誤り
(チャットGTP)最高裁判決では、税理士会が政治団体への献金を行うことは、たとえその政治団体が税理士会の目的に関連する活動をしていたとしても、税理士会の目的の範囲を超えるものであり無効であると判断されています。税理士会は強制加入団体であるため、会員が思想・信条の自由に基づいて個別に判断すべき政治献金を、団体の意思決定で強制することはできません。したがって、多数決で決議された場合であっても、政治団体への献金が税理士会の目的の範囲内の行為とみなされることはありません。
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投稿者: footwork
田舎者の不動産業者です。このサイトでは私の経験則等を掲載します。できる限り正確な情報を記載しますが、不備不足等がある場合でも私は責任を取らないため、参考レベルでご覧下さいますよう、お願いします。
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