共有(行政書士試験対策)

使用対価償還請求(条文等メモ)

  1. 民法第249条2項 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
  2. 適用要件
    ①共有物が存在すること 不動産(家や土地)や動産(車など)が共有物である場合が対象。
    共有者の1人が持分を超えて使用したこと 例えば、持分が3分の1しかない共有者が土地全体を使用して他の共有者が長期間使用できない場合など。
    ③別段の合意がないこと 他の共有者が持分超過の使用を許諾していない場合。
  3. 持分を超える使用の共有者は、他の共有者に対し、使用した部分の対価を金銭で償還する義務を負います。
  4. 事例 A、B、Cが3分の1ずつ持分を持つ土地を共有している場合、Aがその土地全体を占有して農業を営んでいるとします。BとCの持分を超える使用があるため、Aはその対価をBとCに償還する義務があります。

同時履行の抗弁権

  1. 民法第533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務を履行するまで、自らの債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が履行期にないときは、この限りでない。
  2. 適用条件
    双務契約であること 当事者双方が互いに対価的な債務を負担する契約である必要があります。例えば、売買契約、賃貸借契約などが該当します。
    相手方が債務を履行しないこと 相手方がその債務の履行をしていない場合が条件です。ただし、履行期が未到来の場合は適用されません。
    相手方の債務と自分の債務が対価関係にあること 双務契約に基づく相互の債務が、経済的に見て一方が他方の対価と認められる関係である必要があります。
  3. 効果
    履行拒絶が認められる 当事者は、相手方がその債務を履行するまで、自分の債務の履行を拒むことができます。この抗弁権によって、履行の順序に関する争いを防ぎ、契約の公平性を確保します。
    ②債務不履行にはならない 同時履行の抗弁権を行使している限り、履行を拒絶しても債務不履行(民法415条)には問われません。
  4. 事例 AさんがBさんに車を100万円で売る契約を締結しました。引渡しと代金支払いは同時に行う約束です。しかし、Aさんが車を引き渡そうとした際、Bさんが「代金は後で払う」と主張しました。Aさんは、Bさんが代金を支払うまで車の引渡しを拒否することができます。これが同時履行の抗弁権です。Aさんの「車を渡す義務」とBさんの「代金を払う義務」は対価関係にあります。Bさんが代金を支払わない限り、Aさんが履行を拒否しても債務不履行にはなりません。

解除権

  1. 民法第541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めて履行の催告をしたにもかかわらず、その期間内に履行がないときは、相手方は契約の解除をすることができる。
  2. 適用条件
    双務契約であること 双方が互いに債務を負う契約(売買、賃貸借、請負など)である必要があります。
    ②相手方の債務不履行があること 債務不履行には、履行遅滞(期限を過ぎても履行しない)、履行不能(履行が物理的・法律的に不可能)などがあります。
    ③相当の期間を定めて履行の催告をすること 相手方に履行を求める通知を行い、その履行に必要な合理的な期間を与える必要があります。
    ④催告期間内に履行がないこと 催告期間を経過しても相手が債務を履行しない場合に限り、解除権が行使できます。
  3. 効果
    ①契約の解除 解除により契約は初めからなかったことになります(遡及効)。ただし、双務契約の場合、すでに履行された部分については不当利得の返還義務が生じます。
    ②損害賠償請求権が発生する場合もある 債務不履行による損害が発生していれば、解除とは別に損害賠償請求が可能です。
  4. 事例 AさんがBさんに100万円で家具を売る契約を締結しましたが、Bさんが代金を期限内に支払いませんでした。AさんがBさんに1週間以内に支払うよう催告したものの、期限を過ぎても支払がありません。売買契約(双務契約)で、Bさんの履行遅滞が発生しているため、催告後に解除可能です。Aさんは契約を解除し、Bさんが受け取っていた家具を返還させることができます。

平成26年度 問29(行政書士試験過去問)

A、BおよびCは費用を出し合って、別荘地である甲土地および同地上に建造された乙建物を購入し、持分割合を均等として共有名義での所有権移転登記を行った。この場合に関する以下の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものの組合せはどれか。

ア 甲土地および乙建物にかかる管理費用について、AおよびBはそれぞれの負担部分を支払ったが、資産状況が悪化したCはその負担に応じないため、AおよびBが折半してCの負担部分を支払った。この場合、Cが負担に応ずべき時から1年以内に負担に応じない場合には、AおよびBは、相当の償金を支払ってCの持分を取得することができる。

答えはクリック

正しい


(チャットGTP)
共有者はその持分に応じて管理費用を負担する義務があります(民法253条1項)。さらに、共有者が1年以内にその義務を履行しない場合、他の共有者は相当の償金を支払ってその者の持分を取得できます(同条2項)。したがって、本肢は妥当です。

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