賃貸物件の入居者が孤独死したときのトラブル対応方法
目次
1.遺品をどのように片付けるか
2.特殊清掃等の原状回復をどの程度行うか
3.次の入居者をどのように募集するか
4.トラブルになるケース
当たり前ですが、賃貸管理している物件の入居者が孤独死をしたという知らせは突然やってきます。
異臭等が原因で、入居者の家族等から鍵を開けてほしいと依頼を受けることがあります。 警察に付き添って頂き、安否確認等の理由で玄関をあけて遺体を発見する。
事故物件というとこのようなイメージがあるかも知れませんが、実際には突然死された翌日に職場の同僚や家族等が発見してくれることもそれなりにあります。
その場合には異臭もなく、知らなければ誰かが亡くなったということが分からない状態のように見えます。
事故物件は亡くなり方にもよりますが、遺族等がしっかりと協力して頂けるのであれば、それ程大きなトラブル問題にならないこともあります。
このサイトでは、不動産会社として私が関わった場合の対応方法を記載します。何かの参考にして頂ければ幸いです。
1.遺品をどのように片付けるか
遺品の片付けが始められるのは警察の現場検証が終わった後です。亡くなり方によって調査が数日~週間になることがあり、その間を片付けられないことがあります。
当然ながら遺品は遺族等が片付けます。物件に残されている物は貸主の所有物ではありませんので、基本的には勝手に処分はできません。そのため、ご遺族等にご協力頂くことになります。
なお、契約上、入居者に身内がいない場合でも警察は見つけていることがあります。貸主が借主の親族の連絡先を知らない場合には、警察に貸主等の連絡先を教えて置くと、遺族から連絡を頂けることもあります。
遺族がどんなに協力的であっても遺品の片付けは大変だと思います。場合によって半年後等に整理が終わることもあります。ただ、遺族の協力がなければ更に大変になるのでその場合には待つことをお勧めします。
2.特殊清掃等の原状回復をどの程度行うか
当然ながら孤独死をした場合には、普通の清掃ではなく専門業者に特殊清掃を依頼します。 遺品が多い場合には、遺品の整理と特殊清掃を同じ業者に依頼することもあります。
主観ですが、特殊清掃の後には死臭が残らないことを考慮するべきです。
例えば床等をはがして清掃をするのもそれが理由です。
ご遺体の体液がフローリングの表面だけではなく中まで染みているかもしれません。その場合、フローリングの表面だけを掃除しても暫くしてから死臭が染み出てくることもあります。状況によってフローリングの張り替えや石膏ボードの交換は当然に検討します。
また、エアコンを付けっぱなしのままなくなった場合にはエアコンの中に死臭が溜まっていることもありますので注意です。
こういう判断をしなければなりませんので、特殊清掃に慣れている会社へ依頼するべきであることも申しておきます。「普段特殊清掃をしていない会社」や「特殊清掃の経験が浅そうな会社」は、それだけでは断定できませんが、なるべく避けて依頼をしております。
3.次の入居者をどのように募集するか
当然ながら賃貸物件として募集をする場合、過去にあったことを伝えなければなりません。
亡くなり方によって心理的瑕疵とは言えないと判断をした場合でも、基本的には何があったのかは借主に説明をするべきです。
そのため、特に不動産業者が重要事項を説明する場合には必ず知っていることは借主に報告することが賢明であると申しておきます。
心理的瑕疵は、事故後に一度だれかが入居をすれば事故物件ではなくなるという都市伝説を聞いたことがある方は、それを信じないようにしましょう。そのことがあったことを知っていたら契約しなかったという事実が心理的瑕疵であり、それに判例以外の基準はないものです 。
また、病気、寿命等の孤独死で、かつ死亡してから翌日等に発見されたのであれば、それは事故物件とは言えないと思いますが、それでもあったことは伝えるべきです。
ただ、あくまでも事故物件は、心理的な瑕疵なので、この物件で誰かがなくなったことを気にしないという方には、それは瑕疵にはなりません。
統計をとっていませんが、経験上、事故物件を気にする日本人いると思いますが、たとえば以前、大陸の方々に説明したときは、まったく気にしてなかった経験があります。もちろん、これはたまたまかもしれません。
もちろん家賃を相場より値下げして募集して、それがその方にとって瑕疵でないなら、それはただのお得な物件になるため、できる限りそのような方にお貸しすることをおすすめします。当然ながら、そのような方を探すまでが大変だとは思いますが…。
4.トラブルになるケース
私が経験をした事故物件の際、困った内容を下記に纏めて記載しますので、何かのご参考として頂ければ幸いです。
- 一番困るのが遺族等が非協力的なときです。理由として事故物件の荷物を片付けることができないためです。その場合には弁護士等からの連絡という手段があります。また、状況によって遺族の同意を得ないで片付けるということもありますが法律上は問題なので、できる限りの対応した後、覚悟の上で行うことをお勧めします。
- 連帯保証人等が引っ越しをして連絡が取れない場合には、住民票を取得して追いかけることもあります【家賃の滞納等の確定した債務名義がある。調停等を考慮に入れて弁護士の職権で所得する等】
- 亡くなり方が悪い場合【死亡してから長期間経過している若しくは自殺等】には、遺族などに損害賠償を請求することがあります。
- 「特殊清掃費」「原状回復費」「心理的瑕疵による二年間程度の家賃値下げ額等」が賠償額となる可能性があると思います。事故物件の場合、被害者は貸主だけではなく遺族も同様だと思います。 それなりの覚悟をして請求をしないのならば、ある程度で妥協をすることをお勧めします。
最後までご覧頂きありがとうございました。何かの参考になれば幸いです。
このサイトの内容
1.遺品をどのように片付けるか
2.特殊清掃等の原状回復をどの程度行うか
3.次の入居者をどのように募集するか
4.トラブルになるケース