過去に賃貸物件で孤独死があったか知りたい場合

物件内で孤独死があった場合、不動産広告には告知事項ありと書かれている筈と思うかもしれません。

しかし、実際は、そのように記載しないことはあります。

これは不動産業者が悪事をしているという訳ではなく、故意にその事実を伝えないで不動産取引をしても罪に問われないことがあるからです。

そのため、過去に孤独死があったか確認をしたい場合には「この物件で過去に孤独死等がありましたか?」と素直に不動産業者へ尋ねることをお勧めします。

それは宅地建物取引業法で不動産業者は知っている事実を不実として告げる行為を禁じているためです。

宅地建物取引行法 第47条(業務に関する禁止事項)
宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。
1.宅地若しくは建物の売買、交換若しくは賃借の契約の締結について勧誘をするに際し、又はその契約の申込みの撤回若しくは解除若しくは宅地建物取引業に関する取引により生じた債権の行使を妨げるため(略)故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為

そのため、例えば賃貸物件を契約する際、以前に孤独死があったのか気になる場合には「過去に孤独死がありましたか?」と素直に不動産業者に尋ねることを推奨します。質問をし難いと感じた場合には「知り合いに霊感が強い方がいるので気になる」等と付け加えてもいいでしょう。

物件内で孤独死があったことを告知しないことが罪になる基準として、現時点では判例等を参考とするしかありません。

自然死があっただけでは告知事項が必須と認められないことがあります。一例ですが、孤独死として告知事項が必須となる場合としては「ニュースとして地域にその孤独死の噂が広まっている」、または「死体の損傷が著しかった」場合等が考えられます。

また、基準とは言い切れませんが、2021年5月20日に国土交通省宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン(案)として公表されてており、これには「判例においても、自然死について、心理的瑕疵への該当を否定したものが存在することから(略)買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いものと考えられ(略)対象となる不動産において過去に自然死が生じた場合には、原則として、これを告げる必要はないものとする」記載されています。

私の経験となりますが「過去に自然死している物件であると告知すると、それ物件を契約したいと考える方は減る」ように思います。

私自身は「借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低い」とは考えていません。また、本当に影響がないのであれば「孤独死を告げる必要はない」と定めるガイドラインの案を作らなくても良いのではないかと思います。

義務でなければ、それを伝えずに契約をする不動産業者はいると思われます。そのため、例えば賃貸物件を契約する際、以前に孤独死があったのか気になる場合には「過去に孤独死がありましたか?」と素直に不動産業者に尋ねることを推奨しています。

質問をして「過去に孤独死がありました」と返答を受けたとします。一例ですが「孤独死はありましたが、状況から考えて告知の義務かある程ではなかったので伝えておりませんでした」等と説明を受けて不満等を感じたとしても、できれば許して頂ければと思います。

私は以前、不動産業者が故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為をしてはならないと記載をしていますが、現実問題としては、その程度が限界であるとも考えているからです。

私の経験では「過去にその物件で、自然死、孤独死、病死があった場合、それを聞いた方は、その物件に住みたくないと考える可能性が非常に高い」ように感じています。

当然ながら不動産業者のモラルが低い場合もあります。しかし、それ以外でも例えば貸主等が許可をしないため、不動産業者としては「トラブル防止のために告知をしたくてもできない」ことは普通にあります。

告知が義務ではないとしても、例えば、その賃貸物件の入居者にはある特定の大学生等が多くて、その学校等で孤独死が噂になっていると考えた場合には、貸主を説得し易いことから、告知をし易い可能性はあります。

しかし、その場合で、かつ、例えば私が不動産業者として担当して告知を望んだとしても、それが許されないことはあります。

そのため、不動産で気になることは、必要な告知事項は必ず広告に書いてあると考えずに不動産業者へ質問されることを推奨いたします。

最後までお読みくださりありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。

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