悪質な滞納者でも借地借家法で守られている

大家さんにとって家賃滞納は大問題です。家賃が入らないと賃貸経営ができなくなる可能性があるからです。

当然に家賃の入金管理は大家さんの大事な仕事となります。

滞納家賃を発見して請求をした場合、経験上、大抵の方は家賃をすぐに払って頂いておりますが、そのような方ばかりではありません。

一件でも家賃回収は重労働になり得ることから「滞納家賃を回収するのは大変な理由とは!トラブル対応方法」というページに私の経験等を記載しております。よろしければ回収の方法については、こちらをご参考下さいますようお願い申し上げます。

このサイトでは悪質な滞納者でも借地借家法で守られているという内容を記載します。

悪質な家賃滞納者への対応として「無断で鍵交換して使えないようにする」「玄関ドアに貼り紙をする」「無断に侵入する」という話を聞いたことがある方はいると思います。

このような自力救済をした場合、大家さん側が処罰される可能性があります。

一昔前であれば、家賃滞納者はお金がないので手荒なことをしても問題が起きなかったかもしれません。

しかし、最近は携帯電話で情報を得ることができ、簡単に記録を保存できるので、家賃滞納者は資金がないから反撃してくる余裕がないと考えて手荒なことをしてはいけません。

最近では玄関ドアに貼り紙をするとしても「手紙を封筒の中に入れて」行うことが殆どです。けして外から中身が見えるように貼ってはいけません。また電話で催促をするとしても基本は「夜8時以降、翌朝7時」の間に行い、夜中等にすることはありません。

家賃滞納をしている入居者であっても借地借家法等で守られているため、大家さんが自力救済をすると大家さんが罰せられるというのが判例です。

借地借家法では下記のようになっています。

借地借家法 第28条
建物の賃貸人【略】建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

正当な事由があると認めるのは裁判所となります。

過去の判例で例えば家賃3ヶ月分の滞納があれば正当な事由と認められやすいことは分かってますが、個人でこれを勝手に判断をして自力救済をしてはならないのです。

悪質な家賃滞納者には、このようなことを知っている方もおり、家賃滞納をしてもなかなか追い出されないと思っています。

そのため、催促をしても「家賃を支払う意思はあります」「家賃を支払う予定はこれから考えます」等と繰り返すばかりで支払われることがなく、家賃滞納が増える一方というお話は珍しくありません。

このような方を相手にする場合、法的に淡々とするしかありませんが、費用と時間がそれなりに掛かります。

そのため、賃貸契約をするときは家賃保証付きで行うことをお勧めします。

家賃保証があれば家賃滞納があっても保証会社が大家さんへ支払うため、滞納家賃の心配は少なくなります。

ただし、家賃保証会社も倒産することはありますので、家賃保証があれば滞納があっても保証される思い込まずに、入居審査は慎重にされることをお勧めします。

尚、家賃を支払って頂けない場合、裁判の手続きを進めながら話し合いをすることが実務では多いように思います。

判決が出た後も執行手続きで費用と時間は掛かりますので、それをするくらいなら損をしても退去をして頂いた方が大家さんの負担は押さえられることが多いように思います。

これは悪質な入居であっても借地借家法で守られているから仕方がないと思うしかないのが現状です。 けして自力救済はしないことを推進いたします。

最後までお読みくださりありがとうございました。このサイトが何かの参考となれば幸いです。

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